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iemiru コラム vol.127

バリアフリーよりさらに快適な暮らしを!住宅を建てるならユニバーサルデザインに考慮しよう

ユニバーサルデザインとは?

「ユニバーサルデザイン」はデザインの世界でよく使われる言葉ですが、建築用語としても広く使われています。ユニバーサルデザインと聞くと公共施設やプロダクトなど、不特定多数の人が利用するものに使われると思いがちですが、このコンセプトを住宅に取り入れると、誰もが使いやすく快適な住空間を実現できる可能性が広がります。 では一体、ユニバーサルデザインとはどのような考え方なのか。また、具体的にどのように住宅に取り入れたらいいのか、わかりやすく紹介していきます。

ユニバーサルデザインは“使用者全員”の安心・安全な生活を考えた設計のこと

ユニバーサルデザインは1980年代、アメリカ・ノースカロライナ大学教授のロナルド・メイス氏によって誕生し世界中に広まっていきました。 ロナルド・メイス教授はユニバーサルデザインの原則として、「誰でも公平に利用できる」・「使用において自由度が高い」・「使用方法が簡単に理解できる」・「必要な情報がすぐに理解できる」・「ミスや危険につながらないデザインにする」・「無理のない姿勢で楽に使用できる」・「使いやすい大きさである」の7つを提唱しています。 バリアフリーが高齢者や個人の能力に配慮したデザインであるのに対して、ユニバーサルデザインは性別・年齢・国籍・個人の能力などにかかわらず、誰もが利用しやすいように空間や製品、サービスなどをデザインする。という考え方です。

身近な場所に意外とたくさんある

ユニバーサルデザインは私達の生活に自然と溶け込んでいるので、気づかないうちに多くの場面で利用しています。代表的なものが自動扉です。自動扉は誰もが安全にわかりやすく便利に使えるユニバーサルデザインに配慮した扉です。 その他にも、様々な人が利用する券売機は、車椅子利用の人も操作パネルに手が届きやすいようにカウンターを備え、足元がカウンター下に収まる空間を設ける工夫をしています。歩行者用信号で鳴る音も、誰もが安全で平等に利用するためのものです。トイレの操作盤に記載されているピクトグラム(絵記号)もユニバーサルデザインの一つです。また、生活に密着したものでは、見えなくても牛乳パックの開け口側が分かる凹み、目を閉じていても触ればシャンプーとコンディショナーの違いが分かるようにボトルについた凸凹、持ちやすく注ぎやすいペットボトルの凹凸などがあります。 生活をする中で触れる様々なものに、ストレスを感じることなく自然に利用できているものは、ユニバーサルデザインの考えを取り入れ、誰もが便利で使いやすくすることを意識して形作られています。

ユニバーサルデザインの注意点

実際に住宅にユニバーサルデザインを導入するためにはどんなことに注意が必要になるのでしょうか。誰もが平等に安全で快適で使いやすいというデザインというと難しく考えてしまいますが、まずは、住む人それぞれが今、使いやすく快適な生活を送れていることが大切です。その上で、同じ場所に長いスパンで生活していくことを視野に入れ、計画を進めていくことが求められます。

リフォーム時のユニバーサルデザイン化は難しい

ユニバーサルデザインは、使い始める当初から誰もが安全で快適で使いやすいように、内装材や空間の広さ、使用する機器類、部屋の配置など、全てのことを計画しておく必要があります。かといって、はじめから全てにおいて完璧にユニバーサルデザインにする必要はありません。 大切なのは、今は必要ないけれどこの先必要性が出てくることを想定して準備をしておくことです。ユニバーサルデザインを考慮していない住宅をユニバーサルデザイン化するには、時間と費用が多く掛かります。また、スペースが限られてくるのでユニバーサルデザインを導入することが難しい場合も出てきてしまいます。

ユニバーサルデザイン住宅を建てるために必要なこと

住宅用語として使われるユニバーサルデザインの考え方は、赤ちゃんからお年寄りまで個人の能力に関係なく家族みんなが快適に暮らせる家。ということになると思います。しかし、現在の日本は核家族化が進んでいるので、一つの家で様々な年代の家族が同居する機会は少なくなっています。これからユニバーサル住宅を考えるときに必要な要素は、年月の経過と共に変わる住む人のニーズを受け止めることができる柔軟性です。 では、そこに住む家族がいつまでも快適に暮らし続けるには、具体的にどんなことを念頭に置いて計画を進めればいいのでしょうか。

新築住宅を建てる際から将来のことを考えておこう

住宅を新築するタイミングは、子供の就学前や収入面、長期のローン契約などの要因で30代が最も多くなっています。30代というと健康面などに不安がないため、これから10年、20年、30年先のことを見据えて全てのことをユニバーサルデザインで考えていくことは難しいかもしれません。 それでも確実に状況は変化していくことを理解しておきましょう。高齢化による体力の衰えや、介護が必要になる可能性、思わぬ事故で障害を抱える可能性など、長い人生の中で、新築当時は想定していなかった状況になることも考えられます。 住宅が状況の変化に対応できない場合、10年先20年先も同じ様に快適で暮らせる可能性は低くなります。すると、せっかく建てた住宅に対する満足度がどんどん下がっていきます。 長いスパンで住宅に住み続けることを考え、ユニバーサルデザインの原則にもあるように、「使用において自由度が高い」ことを意識して住宅を建てておくと、様々な変化に柔軟に対応することができるので、生活の質を損なわず快適に暮らし続けることができます。

間取りから内装・住設機器までをトータルプランニングで考える

バリアフリー住宅を考えるときには、手すりの取り付や段差の解消など、部分的な障害の解消がメインになりますが、ユニバーサルデザイン住宅を考えるときには家全体をトータルで考えることが基本です。 移動距離を短くすることや移動経路を単純にすることは誰もが使いやすく快適な住宅です。また、内装材を選ぶときは、滑りにくい床材や車椅子がぶつかっても傷がつきにくい壁仕上げにするなど、安全性や使いやすさを重視すると共に、メンテナンスのしやすさも考慮しておくと家事の負担を減らすことができ、住みやすさの向上に繋がります。 キッチンや洗面化粧台などの住設機器はユニバーサルデザインの商品が一般に売られています。はじめからユニバーサルデザインタイプのものを選ぶ必要はありませんが、いざというとき交換しやすいような間取りや、スペースの確保をしておくと安心です。 使いやすいキッチンだと自分で料理することが苦痛になりません。洗面化粧台も使いやすい物であれば介助者がいなくても顔を洗ったり歯を磨くことができます。日常生活を自分で行うことができればいつまでも自立した生活が送りやすくなりため、生活の質を維持しやすい環境をつくることができます。 また、内装材や住設機器は必ず交換時期がきます。そのことを念頭に入れ、交換しやすさも考慮しておきましょう。

生活スタイルに合わせて間取り等が変更しやすいよう、可変性を取り入れること

年齢を重ねると共に、子育て中心の時期から子供の自立によって夫婦二人の時期、介護が必要な時期など、生活のスタイルはどんどん変化していきます。住宅はこの変化に柔軟に対応できるように考えておく必要があります。 使わなくなった子供部屋はどうするのか、そもそも子供部屋は必要なのかなど、家族の生活に対する考え方まで掘り下げて検討しておくと、将来に渡って満足度の高い住空間をつくることができる可能性が高くなります。

将来手すり等をつけることを考えた基礎作りをする

手すりは後から取り付けることもできますが、はじめから将来手すりを取り付けることを想定して壁材を決めたり補強の準備をしておくことをおすすめします。 手すりを取り付ける準備のないまま後から工事をする場合、想像以上に大掛かりな工事になる可能性が出てきます。手すりを取り付ける壁がコンクリートの場合、手すりを固定するためのアンカー工事が発生します。コンクリートを削って穴を開けるので、大きな音や、周囲へコンクリートの破片が飛び散るため養生が必要になります。 壁がプラスターボードの場合は補強の板に手すりを固定していきます。壁に一本横のラインが入るだけで空間が狭く感じたり、意匠のバランスが崩れる可能性があります。補強の板を見せたくない場合は、手すりを取り付ける部分だけプラスターボードをカットして板をはめ込むか、プラスターボードを撤去して補強の板を設置した上に新たにプラスターボードを設置する方法などがあります。プラスターボードをカットしたり撤去すると付帯工事としてクロスの張り替えが必要になっていき、どんどん工事の範囲が広がってしまいます。 このように、手すり等の取り付け準備を事前にしておかなかったことで、費用も時間も無駄に掛かってしまいます。更に、意匠的にも空間のイメージを悪くしてしまうことが多くあります。

ユニバーサルデザインは住宅のどこに取り入れるの?

住宅の中でも特にユニバーサルデザインを取り入れて欲しいのが、「玄関」・「トイレ」「浴室」です。これらの空間は事故が発生しやすく、使いづらさを感じやすい空間です。 家の中で起こる事故の中で多いのは転倒です。転倒は体力の衰えによって起こることが多いですが、ユニバーサルデザインを取り入れることで、未然に防ぐことも可能です。また、自立した日常生活を送るための配慮や、介護される側もする側も快適に過ごせる空間を意識した住宅づくりが必要になってきます。

玄関

玄関は外と中を明確に分けるために段差を付けることが通常の作り方です。ですが、玄関と部屋の床のレベルを同じにすることは施工の面から見て何の問題もありません。 玄関は家の中でも事故が起こりやすい場所です。段差につまずいて転倒したり、靴を履いて立ち上がる際にバランスを崩すなど、事故を起こしやすくする要素がたくさんあります。 未然に防ぐには、段差の解消や手すりの取り付けが有効です。手すりの取り付は必要になったときに後からでも取り付けられますが、段差の解消を後から行うのはスペースの問題や、段差の高さによっては難しい場合があります。 段差がない空間は、高齢者に限らず誰にとっても使いやすく安全です。住宅を建てる際は、はじめから段差をなくしたプランを検討してみましょう。

トイレ

車椅子利用でも行き来しやすいように引き戸や折れ戸にしたり、開口幅を確保できるように考えておく必要があります。また、車椅子利用者や介護が必要になった場合など、無理なく使えるスペースの確保を考えておきましょう。 車椅子利用者が無理なく利用できるトイレのスペースは、160cm×160cm以上といわれています。これは、車椅子がトイレ内で回転できる寸法です。はじめから車椅子に対応したスペースを確保していなくても、必要になったときトイレにこの程度のスペースが確保できるように、プランを検討する段階から工夫が必要になります。 例えば、トイレの横に納戸を配置して、トイレスペース拡大のリフォームをしやすくしておいたり、あらかじめ広めのトイレを作り収納棚や飾り棚を設けておき、いざというときは棚を無くしてトイレを広く使うことができるように計画しておきます。 配置を考える際は、寝室の近くが理想的です。夜、暗い中での移動が安全に行えるように配慮しておきましょう。

浴室

浴室は転倒やヒートショックによる事故が起こりやすい空間です。重大な事故につながる場合もありますが、ユニバーサルデザインに配慮することで事故の原因を無くすことができます。 浴室の転倒で多い原因は、床で足を滑らせることです。この事故を防ぐには、濡れても滑りにくい床材を使用することです。ユニットバスの床はほとんどの商品が滑りにくい床を採用しているので問題ありませんが、タイルの床を使って浴室の計画を考える場合は、カタログに「滑り防止」の記載があるものを選ぶことや、設計担当の方と相談して、安全性の高い床材を選びましょう。 将来的な手すりの取り付も検討しておきましょう。また、はじめから取り付ける場合で注意したいのは取り付ける位置です。手すりは、使う人の手が届く位置にないと意味がありません。実際に浴槽に浸かった状態で、どの位置に手すりがあると使いやすいのか検証してみることをおすすめします。 ヒートショックに関しては、浴室と脱衣室の温度差を小さくすることも大切ですが、浴室の温度を暖かくしておくことも重要です。室温の低い浴室に服を脱いで裸の状態で入ると、温度差の変化の大きさから血圧は急激に上昇してしまいます。浴室が温まった状態だとこの温度差が小さくなるので、体に掛かる負担を軽減することができます。

電気のスイッチやドアハンドル、蛇口にも

今では照明のスイッチもユニバーサルデザインを取り入れたデザインが多く商品化されています。スイッチ面が大きくなり指以外の部分でも簡単にスイッチのon・offができるようになっています。 ドアハンドルも従来の握って回すタイプのものからレバータイプのものが主流になっています。このタイプは握る力がない場合や手首を動かすことができなくても、少ない力で簡単に扉の開閉ができます。 蛇口もハンドル部分を回すタイプではなく、レバータイプやセンサータイプにするなど、日常的によく使うものこそ、誰もが使いやすくなるように配慮することが必要です。

最良のユニバーサルデザイン住宅を建てるためにすべきこと

将来的に自分の体がどのように変化していくのかまた、間取りの工夫はどこまで考慮しておく必要があるかなど、自分たちで情報収集して準備をしていくには限界があります。専門の知識を持った人に話を聞いたり、シュミレーション体験をしてみるなど、より具体的に今後の暮らし方が想像できるように、様々な方法で方向性を検討していきましょう。

建築会社だけでなく、“住宅改良ヘルパー”に相談する

住宅改良ヘルパーとは、高齢者や障害者の住環境を改善することを目的として、相談及びアドバイスを行う制度で1993年度から始まっています。建築関係・福祉関係・保険医療関係の専門家が連携して住宅の改良を円滑に行ってくれます。住宅改良ヘルパーは自治体が紹介してくれることもあるので、まずは自治体の福祉課などに問い合わせてみましょう。

ユニバーサルデザインを採用した住宅や公共施設を見学する

実際に見て触って体験することでユニバーサルデザインを理解することも大切です。体験することで具体的にイメージしやすくなります。何が必要なのか、どんなところに不便を感じるのかなどメリット・デメリットも理解しておきましょう。その上で、自宅へどのように落とし込んでいくのか検討していきましょう。

シニア体験をしてみる

高齢になるとどのくらい体力が落ちるのか。また、どんな作業に負担を感じるのか。など、現状で想像するのは難しいと思います。シニアの体力を体験できる体験会や、高齢者体験セミナーなどが各地で行われているので、このような機会を利用してみることもユニバーサルデザイン住宅を検討する際の参考になります。

若いうちからユニバーサルデザインを意識しよう

住宅を考える上でユニバーサルデザインは、はじめから考慮しておくことが大切です。自分自身の生活や体力的変化を考慮して、何十年と住み続けることを想定しておきましょう。若いうちから準備しておけば、住宅が生活の変化に対応し続けることができるので、将来に渡って快適な生活を過ごせる可能が高くなります。

将来のことを具体的に考えることが大切

住宅を建て始める際は、今の生活に精一杯で将来のことまで具体的に考えることが難しいかもしれませんが、10年後、子供が2人いる、20年後、子供が1人独立する、30年後、夫婦2人の生活になるなど、ぼんやりとでもこれからの生活を想像してみるだけで考え方が変わるかもしれません。是非、長期的な視野で住宅を考えていきましょう。

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