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iemiru コラム vol.191

太陽光発電に最適なのは南面片流れ屋根!その影に潜むリスクと対策とは?

片流れ屋根とは?

家づくりにおいて、家の外観というのは悩みの一つだと思います。 外壁の素材や色、玄関のドアなど様々な要素の中で、遠くから見た時に家の外観を印象付けるものの一つに「屋根の形状」があります。 色々な家を見ていると、屋根には実に多くの形状があることがわかると思います。しかし、最近の住宅の傾向を見ると「片流れ屋根」が主流となりつつあるようです。 新築住宅で多く見られるようになった「片流れ屋根」。一体どういうものなのでしょうか。また、家にもたらすメリットやデメリットにはどういった事があるのでしょうか。またデメリットにはどういった対処法があるのでしょうか。 そういった「片流れ屋根」の疑問について今回は解説していきたいと思います。

屋根形式の一つで、片側から一方向だけに勾配があるかたちのものを指す

建物の屋根には実にさまざまな形状があります。代表的な屋根の形状として、「切妻屋根(きりづまやね)」、「寄棟屋根(よせむねやね)」、「陸屋根 (ろくやね・りくやね)」、「入母屋屋根(いりもややね)」、「方形屋根(ほうぎょうやね)」、「招き屋根(まねきやね)」、「はかま腰屋根(はかまこしやね)」そして「片流れ屋根(かたながれやね)」があります。 「片流れ屋根」とは、片側から一方向だけに勾配がつけられている形状の屋根の事を指しています。その見た目が非常にシンプルなので家の作りによっては見栄えの良い屋根となり、特徴のある住宅となるためデザイン住宅などに取り入れられる事も少なくありません。 また、片側に勾配が付いているので、雨水の流れが良いといった特徴があります。 さらに、形状が斜めでなので太陽の光が入り込む面積を広げることができ、明るい室内を演出する時にも用いられたりします。

片流れ屋根が急増している理由とは?

まずは、数ある屋根の形状の中で、最近の住宅ではなぜ片流れ屋根が増えてきているのかについてご説明します。

太陽光発電の流行

最近流行りとなっている太陽光発電の設置の際に、片流れの屋根が取り入れられることが多くなっています。その理由として、片流れ屋根にすることで太陽光パネルを載せる場所を確保しやすく、特に南向きに片流れ屋根を設置することで太陽光発電の能力を最大限に発揮することができるからということが挙げられます。 最近は国も、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの省エネ住宅を推進していますので、時代の流れとともに片流れ屋根が増えてきたというわけです。

コストが下がる

また、他の多くの屋根と比べると建築コストがかからないといった面も急増している理由の一つです。 片流れ屋根は他の屋根に比べると、小屋裏空間と呼ばれる天井と屋根の間の空間を小さくする事ができます。さらに、片流れ屋根の勾配は一方向に傾いているため、雨どいもその傾きに合わせて片側に取り付けるだけで済みます。これらにより、使用する建築資材を軽減できるので、コストも抑えられるのです。

デザイン性

そして、片流れ屋根が増えている最も多い理由として考えられるものはデザイン性です。 切妻屋根や寄棟屋根に比べると見た目が非常にシンプルなので、モダンなデザインなどにもマッチしやすい屋根と言えます。また、人気のロフトや屋根裏部屋などの空間も取りやすいという点も人気の要因と考えることができます。

片流れ屋根のデメリット3選

一方で片流れ屋根のデメリットには、どういったことがあるのでしょうか。

雨漏り

最初に知っておかなければならないデメリットは「雨漏り」です。 とある保険会社の調査によると、新築で建てられた住居で、雨漏りが発生した屋根の”75%“が片流れ屋根だったという結果が報告されているほどです。 片流れ屋根の外壁には「けらば」と呼ばれる、屋根から出っ張っている雨樋がついていない部分があります。日当たりの加減や雨の吹込みを防ぐ役割があるのですが、屋根と雨水が流れる水切りの結合部に段差や隙間が生まれてしまうのです。 そのため、この部分には年数とともに土や枯れ葉などのゴミが蓄積されてきてしまいます。この蓄積されたゴミにより雨水が軒へスムーズに流れることが難しくなり、流れにくくなった雨水が釘などを伝わって室内に入り込み、雨漏りを発生させてしまうというわけです。 片流れ屋根の場合、この「けらば」が他の屋根に比べて2倍の長さとなりますので、雨水も2倍の量が流れてくることとなります。その結果、「けらば」が原因による雨漏りのリスクが切妻屋根などに比べると2倍となるわけです。 片流れ屋根は破風板と呼ばれる板に覆いかぶさるように斜めに野地板を施工することで、片流れ屋根の「棟」と言われる一番高さがある部分が形成されています。この野地板と呼ばれる屋根の土台は、破風板より外側に飛び出ているため、その野地板の裏側を雨水が伝って建物の内部へ流れ込み、雨漏りをとなってしまう場合もあるのです。 さらに、この野地板は雨水などにさらされ続けているため、腐食しやすくなります。腐食した野地板は雨水が浸透しやすくなりますので、次第に雨漏りが多くなってしまうのです。 多くの屋根に比べると片流れ屋根はシンプルな形状であるがゆえに「けらば」や「棟」などの雨漏りのトラブルが発生しやすい傾向にあるといえるのではないでしょうか。

日射取得

2つ目のデメリットは、「日射取得による野地板の腐敗や劣化」です。 比較的土地が狭く住宅の形状に制限がかかりやすい都市部などでは、北側斜線の高さ制限を理由に、傾きが北側に流れている片流れ屋根が採用されることが多くあります。北側に流れている片流れ屋根の場合、冬の季節などは太陽の光が差し込みにくく、場合によっては1日中屋根に日が当たらない可能性もあります。そのため、野地板などの屋根裏面にあたる部分は温度が低下してしまいます。一方の住宅の壁や小屋裏には太陽の光が当たりますので温度が上昇します。 壁などで使用されている木材が太陽の光に温められることにより、湿気が放出されます。その放出された湿気が、低温のままになってしまっている北面の野地板に吸収されることで、野地板の湿度が高くなってしまいます。この現象が冬場には毎日のように繰り返し発生し、野地板の湿気が慢性的に高い状態となり含水率が上昇します。その結果、野地板ないしは住居の腐朽や劣化に繋がるというわけです。

換気不足

3つ目のデメリットは、「換気不足」です。換気不足によっても、野地板の腐敗や劣化が促進されてしまうのです。 切妻屋根などの場合は、空気口を設置することで空気の流れを作って換気することで、壁内の結露を防いでいます。しかし、片流れ屋根は軒が上方を向いていますので、この部分に単純に空気の入り口を設置してしまうと雨水が入り込んでしまう可能性があります。ゆえに、軒に換気のための空気口を設置することができないので、換気機能がありません。 また、空気口以外にも温度差を利用して換気する方法もあります。空気というのは温度の低い方から温度の高い方へ流れていく性質があります。そこで、高低差を利用して温度差を生み出し、屋根の換気が行えます。 しかし、片流れ屋根は一般的にゆるやかな傾きを持った屋根となりますので、住宅や小屋裏の高さにあまり差がありません。ゆえに、空気の流れが発生するほどの高低差を作り出すことができないため、小屋裏の換気がしにくいという状況があります。その結果、野地板の腐朽や劣化を促してしまうというわけです。

片流れ屋根のデメリット克服法とは?

そうした中でも、片流れ屋根の人気が衰えているわけではありません。その理由は、デメリットがはっきりしている事により、その対策を行うことでトラブルを軽減させられるからです。ではどういった対策を行えばデメリットを克服できるのでしょうか。

雨漏り対策

片流れ屋根の雨漏りの要因として、「棟」の問題があります。この「軒」の形状から野地板を伝う雨水が雨漏りの原因となっているわけですが、その伝い水の対策として破風板と野地板を覆うように「透湿ルーフィング」と呼ばれる資材を使用する方法があります。 「透湿ルーフィング」とは通気性と防水性を持ち合わせたプラスチック系の屋根下葺き材です。万が一、野地板に雨水が入り込んだとしても素早く乾かすとともに、湿気を含んだ空気は外部へ排出し、小屋裏結露が抑えられるので棟の防水対策には最適といえます。 片流れ屋根の雨漏りのもう一つの要因である「けらば」については、「シール材付きけらば水切」を使用します。 「シール材付きけらば水切」とは、シール材でけらばの水切りと屋根の隙間をふさぐことで土や枯れ葉などのゴミが、けらばに蓄積することを防ぐものです。ゴミが無くなるため雨水も溜まることが無く、その結果、雨水のオーバーフローを防ぐことができるというわけです。

日射取得対策

次に、北側に面している片流れ屋根のデメリットである日射不足への対策です。この場合、日射不足を解消する方法というのはありませんが、野地板に劣化防止などの対策を施すことで腐敗を防ぐという方法がりあます。 北側片流れ屋根に対しては、屋根材と野地板の間を換気しつつ透湿ルーフィングを施すことが有効とされています。壁などの木材から発生する湿気を、野地板が含んでしまう前に換気された空気と透湿ルーフィングにより外部へ排出することができます。 なお、この対策については基本設計には組み込まれにくく、追加料金となるのでコスト的には少し上がります。ちなみに、太陽光発電パネルを設置した場合も、パネルの影となる屋根の部分は北側と同じ現象がおきますので、同様の対策を施すことをお勧めします。

換気不足対策

さて最後に片流れ屋根の換気不足への対策です。換気する方法は様々ありますが、ここでは代表的な3例について取り上げます。 最初は、「換気棟」と呼ばれる小屋裏を換気することができる屋根材を使用する換気方法です。換気棟の設置個数を増やすことにより、一層の換気を促すことも可能です。 次は、「軒天換気」という空気を通す穴が空いている合板を、片流れ屋根の全方向の軒裏側に取り付ける方法です。片流れ屋根の低い軒裏に設置された「軒天換気」から入った空気が、高い軒裏の「軒天換気」から排出されることで空気の流れが作られ、小屋裏が換気されます。 最後に、妻壁での「妻換気」を設置する方法です。妻換気とは、外壁である妻壁の上部に換気口を取り付けることで小屋裏に空気を送り込み、湿気を外側へ排出する換気方法です。通常は、切妻屋根で用いられる方法です。 この3つの方法以外もありますので、施工にあたり工務店などとよく相談して決めていくと良いでしょう。

片流れ屋根でエコハウスを手に入れよう

ここまで片流れ屋根についてご説明してきました。 片流れ屋根がもたらす住宅に対するデザイン的要素は非常に高く評価されています。その一方、知識の乏しいまま工務店に言われたからと片流れ屋根を採用することは、リスクが高いとも言えます。

建築コストが安く、太陽光発電にも最適

片流れ屋根の魅力は、コストが安いという点にもあります。他の屋根に比べて建築費用が掛からないというのは、十分なメリットと言えます。 また、最近流行りの太陽光発電を設置する時にも片流れ屋根は非常に有効的な作りと言えます。特に、国土交通省・経済産業省・環境省の3省で連携して促進しているZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)で補助金などが支給される条件を満たすには太陽光発電は不可欠で、地球環境と生活コストを考えるうえで非常に有効な施策となりますので、検討してみてはいかがでしょうか。

雨漏りや日射不足の対策は念入りにしよう

今もなお増えている片流れ屋根。建築コストに優れ、太陽光発電にも有用で、デザイン性も優れているこの片流れ屋根を検討する時には、デメリットである雨漏りや日照不足の対策を自身でリサーチした上で、施工業者とも相談し、念入りに対策することをおすすめします。 家づくりにおいては、大切な家族を雨風から守ってくれる屋根にも拘りたいものですね。

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