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iemiru コラム vol.230

繰り上げ返済は絶対に得とは限らない!?思わぬ落とし穴に要注意!

「繰り上げ返済」とは、決められた毎月返済額とは別に前倒しで元金返済分を返済することで、ローンの残高を当初の予定よりも早く減らしていく返済方法です。 ローンの残高が予定よりも早く完済に近づくのでとても有効な方法ですが、一方で使い方を間違うと損をすることにもなりかねません。 繰り上げ返済について、その使いどころやメリット・デメリットを知り、住宅ローンをお得に、賢く返済していくことが大切になります。

繰り上げ返済には2つのタイプがある

繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。 一般的に繰り上げ返済をする場合によく利用されているのは「期間短縮型」ですが、それぞれに期待できる効果が異なります。たとえば同じ100万円の繰り上げ返済でも、「期間短縮型」と「返済額軽減型」では、返済期間や返済額への影響も異なるので上手に使い分けることが重要です。 この2つを上手に使い分けることが、繰り上げ返済で賢く住宅ローンを完済することにつながるのです。

支払利息を減らして完済を早めたい方は「期間短縮型」

「期間短縮型」は月々の返済額を変えずに、残りの期間を短くする繰り上げ返済の方法です。まとまった資金を返済にまわすことで残りの返済期間が短くなり、その分の利息が軽減されるというメリットがあります。 「返済額軽減型」に比べると総返済額の軽減効果が大きいため、通常はこちらの返済方法のほうが有利だとされています。 たとえば、住宅ローンの返済期間が35年から25年に短縮されれば、心理的な負担から10年早く解放されることになります。ローンの支払をリアイアまでに完済し、余力を貯蓄に回して、安心した老後を送りたいという人に支持されています。

月々の家計支出を減らしたい方は「返済額軽減型」

「返済額軽減型」は、ローンの返済期間はそのままで月々の返済金額を減額する返済方法です。「期間短縮型」に比べて総返済額の軽減効果は小さくなりますが、翌月の返済負担が軽くなるため、効果をすぐに実感できるというメリットがあります。 たとえば、「将来的に子どもの教育費負担が大きくなりそう」、「金利が上がる前に毎月の返済額を減らしたい」など、「返済額軽減型」で月々の返済額を減らし、生活費に使えるお金を増やして気持ちに余裕を持ちたい人に支持されています。 また、雇用状況が不安定な昨今、余裕があるうちに少しでも住宅ローンの返済額を減らして、将来のリスクに備えるという目的で利用されるケースもあります。

繰り上げ返済の思わぬ落とし穴

ここまで、繰り上げ返済の「期間短縮型」と「返済軽減型」との違い、それぞれのメリットについてご紹介しました。 しかし実は、繰り上げ返済は使いどころを誤ると、思わぬ落とし穴にはまってしまう危険もあるのです。 ここからは繰り上げ返済のデメリットについて考えていきましょう。

手元の現金が少なくなるため急な出費に対応できない

繰り上げ返済をするということは、確実に手元にある現金が少なくなるということです。返済額の軽減を目指して繰り上げ返済を積極的に利用しために、「子どもの教育費が予想以上に必要になった」、「病気やケガで治療費が必要になった」という急な出費に対応できなくなってしまっては、本末転倒です。 「期間短縮型」であろうが「返済額軽減型」であろうが、決して少なくない金額を支払うことになるので、近い将来の見通しが立っていない状況での闇雲な繰り上げ返済は、非常にリスクが高いということに留意しておく必要があります。

期間短縮型は、残り期間が短縮されるため借り換えが難しくなる

月々の返済負担を軽減する方法としては、繰り上げ返済の他に住宅ローンの「借り換え」があります。 「借り換え」とは、現在返済中の住宅ローンから別の金融機関などで、金利や返済期間を見直した新たな住宅ローンへ借り換えることです。 一般的に「借り換え」の効果が出るのは、「金利差1%」、「残り返済期間10年以上」、「ローン残高1,000万円以上」とされています。住宅ローンにおいて返済期間を短縮してしまうと、それよりも長い期間に戻すことはできません。 つまり、「期間短縮型」で返済期間を短くした後に借り換えを行っても、さほど返済の負担を軽減する効果が得られないというデメリットが発生してしまいます。

返済額軽減型は、月数千円のメリットしか無いため貯金が望ましい

「家計が苦しいから返済額軽減型で少しでも月々の返済額を減らそう」という考えであれば、ちょっと待って下さい。確かに、「返済額軽減型」は月々の返済額を減らす方法ですが、実際の軽減額は月々数千円程度の負担軽減にしかならないのです。 それよりも急な病気やケガ、お子さんの教育費、失業のリスクなどに備えて、貯金しておくほうが賢いお金の使い方ではないでしょうか。住宅ローンの負担軽減も大切です。しかし、何よりもご自身やご家族の生活が儘ならなければ、返済も滞ってしまうかもしれません。

繰り上げ返済と住宅ローン控除の上手な活用方法

住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高に応じて一定額が所得税から控除される制度です。たとえば年末の借入残高が3,000万円だった場合、そのうちの1%にあたる30万円が10年間、毎年控除されます。控除を受けるには次の条件をクリアし、確定申告をする必要があります。 ● 床面積(登記簿面積)50平方メートル以上
● 一般住宅の場合、控除対象となる住宅ローン残高は4,000万円まで
● その年の所得金額が3,000万円以下
● 住宅とその敷地の取得のための借入金であること
● 取得後6か月以内に入居している
● その年の12月31日まで引き続き住んでいる
住宅ローン控除は一般住宅なら、「最大で合計400万円の税金」が戻ってくる制度ですので、これをあてにして家計をやりくりしている人もいらっしゃるかもしれません。繰り上げ返済と住宅ローン控除を上手に活用すれば、より軽減負担効果の恩恵を受けられるのです。

手持ちの資金に余裕があれば控除対象残高まで繰り上げ返済

一般住宅の場合は住宅ローン控除の対象となる残高が4,000万円となっています。仮にその年の残高が4,100万円なら控除対象外となって控除を受けることはできません。 そこで繰り上げ返済を利用して、控除の対象とならない100万円の部分を減らしておくほうが、早めに控除を受けられるということになります。 ただし何度も指摘している通り、繰り上げ返済はあくまでも手元の現金に余裕があるときだけに留めるべきです。生活資金などに必要な貯蓄まで、繰り上げ返済に使うようなことは避けましょう。

金利1%未満では住宅ローン控除が得

住宅ローンの金利が仮に0.5%だった場合、支払い金利は残高×0.5%程度であるのに対して、控除で戻ってくる税金は残高×1%となります。差し引きすると、借入金があるのに年間収支では残高×0.5%程度の利益が生まれます。 残高の額が残っているほど得をするので、繰り上げ返済を利用して利益を縮小するのは損することになります。たとえ手元の資金に余裕があったとしても、10年間は繰り上げ返済をせずに差分で生まれた利益を受け取り続け、控除が終了する11年目を迎えてから繰り上げ返済をする方法がベストでしょう。 前述の通り、住宅ローン控除の適用を受けるには、確定申告をしなければなりませんが、2年目以降はサラリーマンであれば会社の年末調整で処理できます。つまり、手続きが簡単で効果が大きい制度といえます。

繰り上げ返済のご利用は計画的に

最後に、繰り上げ返済の2種類の方法、「期間短縮型」と「返済額軽減型」のメリット・デメリット、およびどのような目的で利用するのが望ましいかを再度確認しておきましょう。

期間短縮型

メリット・残りの返済期間が短くなる
・総返済額の軽減効果が大きい
デメリット ・残り期間が短縮されるため借換えが難しくなる
おすすめする利用目的 ・住宅ローンの早期完済
・総返済額の効率的な軽減

返済額軽減型

メリット・月々の返済額が減額される
デメリット・月々の軽減額が数千円程度
おすすめする利用目的 ・家計のキャッシュフロー(資金繰り)の調整
・毎回の返済額の負担を減らす
・失業や急な病気、ケガなど将来の収入減への備え
・子どもの教育費など将来の支出増への備え

目先の利息の軽減や返済額の減額だけを見るのではなく、繰り上げ返済の利用目的をしっかりと見据えたうえで計画的に利用しましょう。

繰り上げ返済をする場合、生活資金ではなく余剰資金を!

借り入れを早く終わらせようと「期間短縮型」のメリットである利息軽減効果にばかり目を向けてしまい、預貯金を次々に繰り上げ返済にあてていては急な出費に対応できなくなります。 また、家計を楽にする目的で返済額軽減型を利用するのも間違った使い方となります。仮に100万円の返済軽減型繰り上げ返済をしても、月々の軽減額は数千円程度と言うのはすでに説明したとおりで、せっかく念願のマイホームを購入したのに生活が苦しくなるようでは本末転倒です。 そもそも必要な預貯金まで切り崩さなければならないような無理な返済計画では、住宅ローンを組んだ意味がありません。繰り上げ返済は当面の生活資金、将来の支出増・収入源のための貯金を十分に確保した上で、その余剰資金で利用するべきものです。

繰り上げ返済ありきではダメ!金利をよく比較してシミュレーションすべき!

住宅ローン返済の負担を軽減する方法は、なにも繰り上げ返済だけではありません。ここで紹介したように住宅ローンの借り換えや住宅ローン控除でも負担を軽減することができます。 返済の負担を軽減するベストな方法は繰り上げ返済か、借り換えか、あるいは住宅ローン控除かの判断材料は金利です。金利が低い場合、高い場合でそれぞれシミュレーションしたうえでベストな選択をしましょう。

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