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iemiru コラム vol.232

耐力壁は耐震性に不可欠?横揺れに強い家の条件

耐力壁は横揺れに強い

地震の多い国、日本。一生安心して暮らせる住宅を建てるために、耐震性の大切さは誰もが実感している事実です。でも「耐震性」と一言で言っても、意外と詳しく知らないという方が多いかもしれません。  ところで皆さんは、耐震性の重要な要素の一つである「耐力壁(たいりょくかべ)」を、ご存知でしょうか?耐力壁とは「住宅の耐震性にとって欠かせない壁」のことをいいます。耐力壁のことを知ることは、新しく家を建てる方にとっても、今住んでいる家の耐震性を知る上でも、きっと参考になるはずです。 そこで今回は、耐震性に欠かせない要素の1つである「耐力壁(たいりょくかべ)」について、解説していきます。

耐力壁って何?

「耐力壁(たいりょくかべ)」とは、建物に対して、横に揺れる力を支える壁のことです。地震が起きた時、縦揺れは建物の柱が支えてくれますが、横揺れは、柱の力だけでは支えることができません。 そこで、横揺れに強い建物にするために、通常より頑丈に作られた壁が「耐力壁」なのです。

木造住宅には耐力壁が不可欠

特に、木造住宅は、鉄筋コンクリート造(RC構造)や鉄骨造に比べて、横揺れに弱いという特徴があります。その理由は、床や壁、天井などの接合部分の弱さにあるといえるでしょう。 木造住宅は、床、壁、天井などの接合部分が、鉄筋コンクリート造(RC構造)や鉄骨造ほど強くは結合されていません。この部分の結合力が弱い場合、ここを中心に「回転しようとする力」が働くことになります。 結合力が弱いほど、回転しようとする力は強まるため、地震によるダメージが大きくなるというわけです。これを解決するために、考えられたのが「耐力壁(たいりょくかべ)」です。 この耐力壁を、適切な量とバランスで設置することは、建築基準法で義務付けられています。この耐力壁を設置することで、木造住宅も、鉄筋コンクリート造(RC構造)や鉄骨造に劣らないほどの、横揺れへの強さを実現することができるのです。 木造住宅の耐震性には、必要不可欠な壁といえるでしょう。

耐力壁は量とバランスが大切

横揺れに強い力を持った耐力壁ですが、闇雲にたくさん設置すればよいというわけではありません。耐力壁が横揺れに対してきちんと効果を発揮するためには「適切な量」と「配置のバランス」が大切となります。

耐力壁の量

耐力壁が、どのくらいの量必要なのかは「壁量計算(へきりょうけいさん)」と「構造計算(こうぞうけいさん)」によって求めることができます。2つの計算式は「建物が、地震や風圧などによって、どのようにねじれたり、どのような力が加わるのか」を導き出すためのものです。 一般的に、2階建てまでの木造住宅には、壁量計算が使われます。一方、鉄筋コンクリート造(RC構造)や鉄骨造などの建物には、より細かい構造計算をすることが義務づけられています。 この計算結果によって、建物を強くするために必要な壁量を割り出すというわけです。ちなみに、この耐力壁の量は、建物の面積や、階数が大きいほどたくさん必要になります。

耐力壁のバランス

耐力壁は、配置するバランスが非常に重要です。その重要性を知るために、まず、建物にかかる力には、どのようなものがあるのか、こちらをご覧ください。 ● 重力など垂直方向に働く力
● 建物自体の重さによる力
● 地震による縦揺れや横揺れの力
● 風などの建物の外からかかる力
私たちの住んでいる家には、これだけの力がかかっているのです。それぞれの力が作用する中心点のバランスがずれるということは、揺れを増幅させることにつながります。このバランスをとるためには、耐力壁の配置場所のバランスが非常に重要となるのです。 そして、耐力壁の配置バランスや、量を決めるためには、この後ご紹介する3つの利率が関係してきます。

耐力壁に関わる3つの利率

耐力壁の必要量やバランスを決めるためには「壁倍率(かべばいりつ)」「偏心率(へんしんりつ)」「剛性率(ごうせいりつ)」という3つの利率が関わってきます。 それぞれの特徴を、簡単にご紹介しましょう。

壁倍率

「壁倍率(かべばいりつ)」とは、壁の強さのことを表す利率です。壁倍率は、建物全体の強さを知るための計算式に必要です。建物の強さを知る計算式はこちら。 ● 耐力壁の長さ×壁倍率
この壁倍率は「この木材のサイズならこの倍率」「筋交いがあるかないかによってこの倍率」というように、あらかじめ決まっているのです。 例えば、木造の軸組工法の場合、壁倍率は0.1〜5.0の間の数値で決められています。そして、壁倍率が高いほど「横揺れに強い」という指標になるのです。

偏心率

2つ目は「偏心率(へんしんりつ)」。これは、建物のねじれの大きさを表す利率です。返信率の数値の特徴はこうなります。 ● 偏心率が小さい…重心と剛心の距離が短く、ねじれが少ない
● 偏心率が大きい…重心と剛心の距離が長く、ねじれが多い
先ほど少しだけ触れましたが、地震が起きた際には、建物に色々な力が加わります。そして、それぞれどこを中心に力が作用するかは違うのです。地震が起きた際に働く力に関して、こちらをご覧ください。

働く力力の働く中心点
地震による直接の力建物の重さのバランスが取れる「重心」に最も強くかかる
地震によって建物が回転しようとする力 ねじれたり曲がらない固い性質の「剛性」が最も強い部分「剛心」を中心に回転する

地震による力が働く中心点は「重心」、建物が回転しようとする力が働く中心点は「剛心」といいます。これらは、それぞれの家ごとに場所が違います。そして、重心と剛心の距離が遠い家ほど、建物には大きくねじれる力が加わってしまい、ダメージが大きくなるのです。 一般的には、偏心率は0.15以下に保つよう定められています。

剛性率

最後の利率「剛性率(ごうせいりつ)」とは、2階建て以上の建物の「バランス」を表す利率です。剛性率の数値からは、こんなことがわかります。 ● 剛性率が高い…変形に強い
● 剛性率が低い…変形に弱い
建物の縦方向に対してのバランスというのは、建物各階の「変形に対する強さ」によって変わります。バランスが良い=剛性率が高いほど、建物は強くなるのです。 例えば、5階建てのビルがあった場合、2階だけワンフロアで柱や壁が少なく、1階と3〜5階にはたくさん壁があったとします。その場合、2階は変形に弱く、他の階は変形に強くなり、建物は2階を中心に、ねじれながら揺れることになるのです。 要するに、各階の変形に対する強さがバラバラであるほど、建物の縦方向のバランスは悪くなります。剛性率も、壁の量や配置を導くのに、大切な利率なのです。

木造住宅の耐力壁

それでは、ここからは建築工法別の、耐力壁の種類について詳しく解説していきましょう。まず、木造住宅の耐力壁についてです。

木造住宅の耐震性

まず初めに、木造住宅の耐震性について理解を深めてみましょう。木造住宅は、特に以下の3つのポイントが耐震性にとって重要となります。 ● 基礎がしっかりしていること
● 外壁や屋根材が軽いこと
● 耐力壁が多いこと
基礎がしっかりしている建物は、傾いたり、地震による被害を受けにくくなります。また、地震の力は、建物が重ければ重いほど、大きく揺れるという性質があります。重さという面においては、木造住宅は他の建築方法より一番揺れにくいということになるでしょう。

耐力壁の種類

そんな木造住宅の耐力壁は、建築工法別に2種類に分かれています。

工法の種類 工法の概要耐力壁の種類
軸組工法 柱や木材を使って骨組みを作り、家を建てる方法筋交い
枠組壁工法(ツーバイフォー) 地震に強い壁や床、天井などの「面」から家を建てる方法構造用面材

まず、軸組工法の場合、使われる耐力壁は、四角い軸組に、斜めに部材を入れて補強したものです。この斜めに部材を入れたものを「筋交い」といいます。木造住宅について筋交いは、一定の割合で入れるように決められているものです。 一方、枠組壁工法(ツーバイフォー)の場合、構造用面材と呼ばれる耐力壁が使われます。構造用面材は、特別に揺れの力に強く作られた壁や床、天井のことです。揺れに強い構造面材を強い結合で組み立てる枠組壁工法は、結合部分が軸組工法よりも強固です。                                            そのため、建物の各接合部分が軸組工法よりも強い枠組壁工法(ツーバイフォー)の方が、耐震性に優れているといってよいでしょう。

耐力壁の量とバランス

木造住宅の耐力壁の量は、「耐力壁の長さ×壁倍率」で決まります。そして、耐力壁の配置バランスについては、偏心率が低くなるように配置していきます。 偏心率が高くなってしまうと、家に地震の力が加わる際、バランスの悪さからねじれが大きくなり、倒壊してしまうからです。 一般的には、軸組工法よりも、枠組壁工法(ツーバイフォー)の方が、耐力壁の配置に関して厳しい基準が設けられています。

鉄筋コンクリート造(RC構造)の耐力壁

続いては、鉄筋コンクリート造(RC構造)の耐力壁について解説していきます。鉄筋コンクリート造(RC構造)は、主にマンションなどを建築する際に使われます。なんと19世紀からすでに存在している工法で、鉄とコンクリートの弱点を補い合って、強さを合体させるという特徴があります。

鉄筋コンクリート造(RC構造)の耐震性

鉄筋コンクリート造(RC構造)は、柱と梁が強く結合していて、剛性が高い構造です。ただし、木造建築に比べて重さがあるため、地震の力はその分大きくかかってくることになるでしょう。また、壁の配置が偏っている場合にも、地震の揺れに対して弱くなります。 このように、構造上では強い建物ですが、どのような設計で建築されているのかという点で、耐震性に大きな差が生まれてくるのが鉄筋コンクリート造(RC構造)の耐震性です。

耐力壁の種類

鉄筋コンクリート造(RC構造)にも、2種類の耐力壁があります。

工法の種類 工法の概要耐力壁の種類
ラーメン構造柱と梁が一体になった構造 部屋と部屋を仕切る壁が耐力壁
壁式構造 柱や梁がない構造 建物の外側の壁のほとんどが耐力壁

柱や梁が一体になった「ラーメン構造」の場合、各住居の部屋を区切る壁のほとんどは耐力壁と考えてよいでしょう。逆に、柱や梁のない「壁式構造」の場合には、建物外側の壁のほとんどが耐力壁となります。 ちなみに、壁式構造の方が、厳しい基準が設けてあります。

耐力壁と非耐力壁

鉄筋コンクリートの壁には、耐力壁と非耐力壁があります。自分の住んでいるマンションのどの壁が耐力壁か、非耐力壁かを見抜くには、場所と音がヒントになるでしょう。 まず場所としては、バルコニー側、外廊下側など、窓や玄関などの開口部がある部分は、耐力壁を設置しづらい場所のため、非耐力壁といえるでしょう。 また、壁を叩いてみた際に、硬くコツコツという音が鳴った際には耐力壁、空洞に響くような音がした場合には、非耐力壁である可能性があります。 ただし、場合によっては一概にいえない場合もありますので、耐震性を調べたい時には、最終的にはプロに相談するようにしてください。

鉄骨造の耐力壁

最後に鉄骨造の耐力壁についてご紹介します。鉄骨造は、骨組みに鉄骨を使った構造の建物です。鉄筋コンクリート造(RC構造)よりも軽いため、超高層マンションなどにも用いられています

鉄骨造の耐震性

鉄骨造の耐震性は、木造や鉄筋コンクリート造(RC構造)より高いといえるでしょう。それは、鉄や鋼には「粘り」があり、地震の力を吸収するパワーが高いからです。地震による倒壊には強い建物になります。 ただし、鉄骨造の場合、摂氏540度になると急激に強度がなくなるという特徴があります。もしも、地震の後に火災が起きた場合、他の建築物よりも倒壊する危険性は高いかもしれません。

耐力壁の種類

鉄骨造には2種類の耐震壁があります。

工法の種類 工法の概要耐力壁の種類
ラーメン構造 柱と梁が一体になった構造 部屋と部屋を仕切る壁が耐力壁
鉄骨ブレース 骨組みにブレースと呼ばれる筋交いの入った構造 ブレースという筋交の入った壁が耐力壁

鉄骨造には、ラーメン構造と鉄骨ブレースという2つの工法があります。ラーメン構造は、同じ柱と梁を一体化させたラーメン構造、鉄骨ブレースは、鉄骨の筋交いを鉄骨を使った工法です。 鉄骨造も、他の工法と同じように、耐力壁の量やバランスが大切になります。そして、使用する鉄骨が太ければ太いほど、横揺れに対する性能も高まります。

耐力壁と耐震壁の違い

耐力壁ではなく「耐震壁」という単語を、聞いたことのある方もいるかもしれません。それぞれの違いは、どんなケースで使われるかにあるようです。一般的には、鉄筋コンクリート造(RC構造)や鉄骨造の耐力壁を言い表す時に「耐震壁」を使うケースが多く、木造の場合は耐力壁が使われています。 ただし、建築基準法の中では「耐震壁」という言葉は一切出てこず「耐力壁」で統一されています。特に、この場合はこちらの言葉を使うということは、決まっていないのです。 ですので、あまり難しいことは考えず、2つの言葉は同じ意味だと思っておいてよいでしょう。

耐震性に関する勘違い

住宅においては、色々な情報が飛び交っているため、中には勘違いのまま情報が広まってしまうこともありますね。そこで、最後に、耐震性に関して勘違いしがちな事柄を説明しましょう。

「柱と梁が太いから大丈夫」の勘違い

「柱と梁が太いから地震が起きても大丈夫」というのは、勘違いです。柱や梁の太さは、現在の住宅の耐震性においてはあまり関係がありません。実際には、とても太い柱を何本も使えば、その数や太さに応じて少しずつ耐震性が上がるのは事実です。 ですが、現実的なところ、柱が10本集まった場合の耐震性と、筋交い一本の耐震性は同じ程度のものなのです。柱や梁の太さを、耐震性の強さとしてカウントするのは少々無理があるということになります。

「構造計算しているから大丈夫」の勘違い

「この建築は、構造計算しているから大丈夫」というのも勘違いの場合があります。先ほどご紹介したように、耐力壁の量を決めるためには、壁量計算と構造計算という2つの計算式が出てきます。 このうち、壁量計算は電卓で行う簡易的な計算で、数十分程度で完了するものです。一方、構造計算は、構造設計専門の方が15万円以上する計算ソフトを使って、数十ページ分にわたり詳細に計算をしたものをいいます。 そして、住宅に関わる方の中には、壁量計算を「構造計算」と勘違いしている方もいるのです。ですので、話が具体的になった場合には、本当に計算したのは「構造計算」なのかどうかを確認する勇気も必要でしょう。

耐力壁で地震に備える!

耐力壁について解説してきました。少し難しい部分もあったかもしれませんね。ですが、日本に住んでいる以上、自分の住宅の耐震性には気をつけていきたいものです。 大切なことは、難しい計算などは専門家の方や、信頼できる会社に相談して、家の耐震性を把握しておくことではないでしょうか? 現状を把握することで、問題点や解決策も明確になります。地震での倒壊に怯える家ではなく、安心できる家にするために、我が家のチェックをしてみるよい機会になれば幸いです。

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