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iemiru コラム vol.279

建物のオーバーハングとは? 狭小地におすすめの理由や耐震性を解説

「狭い土地を有効に活かせる」手法として人気のある「オーバーハング」。外観のデザインもおしゃれになる手法ですが、デメリットを知ったうえで施工相談しないと、地震に弱い住宅になってしまいます。 本記事ではオーバーハングのメリット・デメリットや、取り入れるときに注意すべきポイントをわかりやすく解説します。安全かつ有効に取り入れられるよう、オーバーハングについて学びましょう!

オーバーハングとは?

オーバーハングとは、英語で「overhang=突き出る、張り出す」を意味する言葉で、建築用語では「2F以上部分が外へ出っ張っている形状」のこと。建築関係者によっては「片持ち」と呼ばれます。 オーバーハングして出っ張っている部分は「キャンティ」・「キャンティレバー」と呼ばれ、2Fの居室を広くしたり、ベランダとして活用したりするのが一般的です。キャンティ下の部分は駐車場やテラス、玄関ポーチとして活用されます。

オーバーハングを採用する5つのメリット

狭い土地を最大限に活用

オーバーハングを採用する最大のメリットは、狭い土地でも家の広さを確保できること。とくにキャンティ(オーバーハングしている部分)を居室の延長に使う場合、居室を広くできるので、「もう少しリビングを広くしたい」・「ウォークインクローゼットをつけたい」といった要望に応えることができます。 また居室でなくともテラスにしてお茶を楽しんだり、ベランダにして気持ちよく洗濯物を干したりするのもおすすめです。 1F部分は駐車・駐輪場や、玄関ポーチ、テラスとして活用できます。とくに都市部であれば土地が狭いので、オーバーハングによって駐車場を確保できるのは大きなメリットです。

キャンティ下は貴重な雨除けスペースに

キャンティ下の1Fは、キャンティが屋根の代わりになるので、貴重な雨除けスペースになります。駐車場の場合は傘をささずに車に乗れますし、玄関ポーチの場合は傘さしなどもバタつかず落ち着いて行動できるのがメリットです。 雨の日はささいなことでもストレスになりがちなので、出かけるときや帰宅時にゆとりができるキャンティ下は、貴重な雨除けスペースと言えます。 また雨にさらされる心配がないので、ちょっとした物置として使えるのもポイント。ガーデニング・DIYグッズなどを置くのに便利です。

2階を広くしても建築費用が抑えられる

オーバーハングは特殊な手法なので、費用が高額になるイメージもありますが、実は費用を安く抑えることができる手法です。というのも、オーバーハングでは1F部分の面積が小さくなるので、基礎工事が小規模で済みます。 基礎工事は建築費用のなかでも高額なので、基礎工事が小規模なオーバーハングの方が、建築費用が安く抑えられるのです。ちなみに下部分が小さい分、屋根は大きくなりますが、屋根の工事費は基礎工事より高くはありません。 もちろん、オーバーハングの幅などによって金額は変わりますが、基本的に費用を抑えつつ建物を広くすることができます。

土地探しの幅が広がる

一般的に土地探しをするときは、ある程度の広さや間取りを想定しながら土地を探していきます。オーバーハングすることを前提にした場合、本来なら「立地は良いけど、土地が狭いからあきらめよう」としていた土地も、候補にすることが可能です。 とくに都市部では土地が高額&狭くなりがちなので、オーバーハングを取り入れる前提で土地を探すと、選択の幅が大きく広がります。

デザインにメリハリのある住宅ができる

オーバーハングは建物が逆L字型になるので、通常の建物とは違った外観デザインになるのが特徴です。オーバーハングしている部分は浮遊しているような印象になり、独特の雰囲気をかもしだします。 オーバーハングの幅によっては下階と上階で大きさがまったく違うので、建物の形にもメリハリが生まれ、デザイン性の高い建物に。オリジナリティのあるデザインを求める方にもおすすめです。

オーバーハングを採用する2つのデメリット

耐震性に不安がある

オーバーハングをするときに気を付けたいのは、不適切なオーバーハングによる耐震性の低下です。以下、耐震に関わるポイント2つを解説します。

基礎や構造などの強度

オーバーハングは1F部分の面積が小さいので、出っ張っている部分を支えるために基礎や構造の強度が必要になります。基礎をオーバーハングしている方向へ延長したり、木造よりも剛性が高いRC造(またはRC造と木造の混合)にしたりする工夫が必要です。

建物のバランス

オーバーハングは逆L字型をしているので、上下左右が非対称、そのうえ土台となる1F部分が小さくなってバランスが悪くなっています。基礎の延長はもちろんのこと、構造内でも重い部分と軽い部分の使い分けや、柱の位置を調整・追加しながらバランスをとることが大切です。

外観が不安定な印象になることも

とてもデザイン性が高いオーバーハングの住宅ですが、オーバーハングの浮遊感などが不安定な印象へつながることもあります。本当に構造がしっかりしていれば問題ないのですが、見た目からくる不安感が日々のストレスにつながっては本末転倒です。 客観的な裏付けをとりながら設計士に相談することで、建物に対する理解が深まり、不安なく建物に住むことにつながります。そのためには、しっかりと耐震性を保証する数字、設計図などを確認することが大切です。

オーバーハングで注意すべき7つのポイント

以下、オーバーハングを検討するときに、注意すべきポイントをまとめました。ひとつひとつのポイントが土地選びや間取りに影響してくるので、基礎知識として身に着けておくと安心です。

①建ぺい率と容積率に注意

「建ぺい率」とは、建物を上から見たときに、敷地面積に対する建物面積の割合を示したもの。オーバーハングした住宅の場合、1Fの面積は小さいですが、オーバーハングしている2Fや3Fの面積が大きくなります。建ぺい率は大きい方の面積がカウントされるので注意が必要です。 「容積率」とは、土地面積に対する延べ床面積の割合のこと。1Fを小さくして2・3Fを大きくしようとしても、容積率で認められた範囲でしか大きくすることができません。例えば3階建にしようと計画していても、容積率の関係で不可能になることも。 「建ぺい率」「容積率」を超えた建物は違法建築となり、処罰の対象になるので、土地探しをするときはあらかじめ下調べしておくことが大切です。

②オーバーハングの幅を必要最小限に

オーバーハングの幅を増やすほど居室が広くなり、デザイン性もオリジナリティが増しますが、耐震性に不安が残ります。耐震性を考えればオーバーハングの幅は小さい方が良いので、欲張り過ぎず必要最小限の幅にすることが大切です。

③オーバーハングするなら3階建は要相談

オーバーハングをしない場合も同じですが、建物は高くなるほど揺れたときの負荷が大きくなり、アンバランスで倒れやすくなります。とくにオーバーハングしている建物は、もともとバランスが悪いので階数を増やさない方が安心です。 どうしても階数を増やしたい方は、しっかりと設計士に相談し、リスクも考慮しながら検討しましょう。

④オーバーハングしている側は窓の設置を避ける

建物は構造上、窓のない壁の方が負荷に強く、窓がある方が負荷に弱い特徴があります。オーバーハングを支えている壁には大きな負担がかかるので、大きな窓を設置するのはおすすめできません。日当たりの問題などがあるときは、必要最低限の窓を設置する方が得策です。

⑤室内設備や重たい家具のバランスを考える

オーバーハングするときは、出っ張っている部分が重くなるとアンバランスになり危険です。数百キロもあるグランドピアノや大量の本棚など、重たいものがオーバーハング側にこないような間取り、設備配置にすることが大切です。間取りを決めるときには、あらかじめオーバーハング部分の使い方を想定しておくことが大切です。

⑥予算が合うならRC造や鉄骨造も検討

日本ではほとんどの戸建住宅が木造ですが、オーバーハングするには強度に不安が残ります。もちろん、オーバーハングする幅などによって条件も変わりますが、RC造や鉄骨造を選択肢に入れておくと安心です。予算を考えるときには、あらかじめ計算に入れるようにしておきましょう。

⑦施工できない工務店もある

オーバーハングは耐震性に深くかかわる特殊な手法なので、実現するには、工務店側にも豊富な経験や特別な知識が必要になります。工務店によっては施工できない会社もあるので、ある程度下調べをし、早めに希望を伝えながら工務店選びをすることが大切です。

「オーバーハング」と「ビルトインガレージ」の違いは?

「オーバーハング」と似たような構造で、1F部分に車庫をつくる「ビルトインガレージ」があります。それぞれの違いに明確な定義はありませんが、ビルトインガレージは周りが柱や壁・シャッターに囲われた車庫専用スペース、オーバーハングは左右に遮るものがない多目的スペース。といったニュアンスがあります。 両者では予算もかなり変わってくるので、設計を相談するときには注意するようにしましょう。

安全性に考慮してオーバーハングを有効活用しよう

狭い土地でも駐車スペースや広いリビングを実現できるオーバーハングは、とても便利な手法のひとつ。デザイン性にも優れており、メリットの大きな仕組みです。ただし、アンバランスな構造になるので耐震性には不安が残ります。 オーバーハングを検討している方は、メリットとデメリットをしっかり整理して設計士に相談してみてください。安全にオーバーハングを活用して、豊かな暮らしを実現していきましょう。

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