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iemiru コラム vol.315

土地問題で頼りになる土地家屋調査士!気になる仕事内容や資格の詳細を解説

重要な資格である「土地家屋調査士」とは

不動産の測量や登記をする専門家として「土地家屋調査士」という資格があるのをご存知でしょうか? 業務内容の特異性から普段あまり関わる事がないため一般的な認知度は低く、耳にしたことがないという方もいるかもしれません。 しかし不動産業界や建設業界の間では非常に貴重な存在で、無資格者が土地家屋調査士の業務を行うと違法行為に該当し、罰則もあります。したがって土地家屋調査士は測量や登記における唯一無二の資格といえます。 そこで、この記事では土地家屋調査士の仕事内容や試験制度について詳しく解説していきます。

土地家屋調査士になるには

土地家屋調査士になるには合格率10%以下の難関試験である土地家屋調査士試験に合格し、土地家屋調査士として登録しなくてはなりません。 登録後は土地家屋調査士事務所や関連する業務を行う企業などに就職して実務を通して経験を積み、一人前になる必要があります。 土地家屋調査士になるための工程は次のようになります。

①土地家屋調査士試験に合格する

土地家屋調査士になるには1年に1度行われる土地家屋調査士試験を受験し合格する必要があります。受験資格は特に設けられていないため、年齢・性別・職業を問わず受験可能です。 願書は毎年7月頃から一斉に配布され、各都道府県の法務局にて取得することができます。不動産関連の国家資格は他にも複数あり、全国で受験可能なものが多いため間違われやすいのですが、土地家屋調査士の受験会場は全国で9箇所しかありません。そのため住んでいる地域が試験地に含まれていない場合は、県外の試験会場まで受験のために出向く必要があります。 不動産関連の他の国家資格には、資格取得に対する抜け道が用意されている場合があります。例えば、司法書士は裁判所事務官や検察事務官として一定年数勤務することで試験なしで司法書士になることが可能です。また行政書士は、弁護士や税理士の有資格者は試験を受けずに行政書士として登録することができます。 しかし、土地家屋調査士には基本的にこのような免除はありません。土地家屋調査士としての業務を行うためには、誰もが土地家屋調査士試験に挑戦し合格する必要があり、ある意味非常に公平な試験であるといえます。

②土地家屋調査士名簿に登録をする

試験に合格しただけでは土地家屋調査士を名乗ることはできず、単なる「試験合格者」の状態です。土地家屋調査士として活動するには、日本土地家屋調査士会連合会の土地家屋調査士名簿に登録をする必要があります。この登録を受ける際には、手数料として25,000円を日本土地家屋調査士会連合会に納付しなくてはなりません。 土地家屋調査士の登録には、他の国家資格にあるような実務経験年数の条件はありません。実務経験年数の条件とは、その業務における実務経験年数が特定の年数以上ないと登録することができない、といった要件です。土地家屋調査士にはそのような制限がないため、合格後手数料を支払えば、未経験者でも登録することができます。 ただし、次のケースに該当していない場合は登録が認められません。 それは、「独立起業して土地家屋調査士として仕事をするケース」と、「土地家屋調査士法人に従業員として就職するケース」のどちらかです。したがって、試験合格者であっても土地家屋調査士として仕事をする予定がない人は登録することができないということになります。

③各事業所で実績を積む

試験に合格し、土地家屋調査士として仕事をする予定があれば資格者として登録し活動することができます。しかし土地家屋調査士の仕事内容は、主に不動産の測量や登記に関する業務になり非常に専門性の高い内容になります。そのため未経験から始めることは大変ハードルが高く、土地家屋調査士法人や関連企業に就職して経験を積むのが一般的です。 土地家屋調査士には正確さやスピードが求められます。当然、業務上で失敗すると顧客の資産に大きな損失を出してしまう可能性があります。依頼者の立場になって考えても、大事な資産である不動産の登記や測量を経験のない資格者に任せる人はあまりいないのではないでしょうか。 将来独立して顧客を確保するためにも、一定期間は各事業所に属し経験を積み上げることをおすすめします。

土地家屋調査士試験の詳細

土地家屋調査士になるための最初の通過点が土地家屋調査士試験です。この試験をパスできないと土地家屋調査士になることはできません。しかし試験自体の難易度が高く一発合格できる人は少数であるため、試験に受からず諦める人も多いようです。 実際のところ、土地家屋調査士試験の難易度はどの程度なのでしょうか。 土地家屋調査士試験の実態を解説していきます。

筆記と口述の2試験

土地家屋調査士の試験は筆記試験と口述試験の2種類あります。筆記試験に合格した人のみ次の口述試験に進むことができます。 筆記試験は毎年10月第3日曜日に開催されます。 午前と午後の部に分かれていて午前は9:30~11:30、お昼休憩を挟んで13:00~15:30まで実施されます。試験の内容は、午前は平面測量に関する問題が10問、さらに実際に図を作る作図問題が1問です。午後は、択一問題と書式問題が行われ1日の試験を終了します。合格発表は毎年1月上旬に行われます。 土地家屋調査士試験の最後の難関は口述試験です。試験は1月に実施されます。試験官による口述質問に対して回答する方式で試験を受けます。内容は、不動産登記法や土地家屋調査士法について質問されます。 このように土地家屋調査士試験は、筆記だけではなく口述試験も突破できた人のみが合格を手に入れることができます。

合格率は8%程度の狭き門

「土地家屋調査士の難易度は高い」、と言われますが実際の合格率はどの程度なのでしょうか。 平成29年度は土地家屋調査士試験の受験者は4,600人でした。合格者は400人だったので合格率で計算すると8.7%です。100人受験したとしても合格者は10人以下という結果になるため、土地家屋調査士試験への合格がどれ程狭き門かということが分かります。なお、平成24年度の受験者が4,986人で合格者は418人、合格率8.38%という結果だったので、受験者も合格率もここ数年はほぼ横ばい状態のようです。 合格率だけみると非常に敷居が高い試験のように感じます。 しかし、注目したいのは受験者の属性と試験合格者の年齢です。平成26年に受験者を対象にしたアンケートによると、受験者の属性は会社員や公務員等が77%、専業主婦・無職15%、学生3%、その他となっているようです。さらに合格者の平均年齢は39歳というデータがあります。 この結果から、まさに働き盛りのサラリーマンが仕事の合間を見つけて学習し合格しているという事実がわかります。したがって、土地家屋調査士は決して合格不可能な試験ではなく、努力次第では合格できる可能性がある試験といえるのではないでしょうか。

所有資格によって免除される試験も

土地家屋調査士筆記試験は一定の資格を保有していることで一部試験が免除され合格扱いとなります。 1次試験は、午前が測量に関する試験、午後は不動産登記法を中心に出題される筆記試験になります。その際、下記の資格を保有していると午前の試験が免除となり合格扱いにしてもらえるのです。免除の特例を受けられる資格は次の通りです。 ・1級建築士 ・2級建築士 ・測量士 ・測量士補 上記の中では測量士補の資格取得の難易度が低く比較的合格しやすいため、午前の試験をパスして効率良く午後に集中するために、測量士補の資格を取得してから挑戦する人もいるようです。 もちろん、測量士も建築士も不動産に関わる重要な資格です。今後不動産業や建築業に関わる予定のある方は自身のキャリア構築のためにも取得しておいて損はないといえるでしょう。

土地家屋調査士の主な仕事内容

土地家屋調査士の仕事は意外と知られていません。しかし不動産業界や建築業界における土地家屋調査士が行う業務は非常に専門性が高く重要で代わりはいません。土地家屋調査士が普段行なっている業務について解説していきます。

登記に必要な土地や家屋の調査・測量

土地家屋調査士の主な仕事内容は、不動産の登記に関する業務です。不動産の登記は主に「表示に関する登記」と「権利に関する登記」に分類され、権利に関する登記は司法書士が専門職として行い、土地家屋調査士の専門は「表示に関する登記」です。 表示に関する登記とは、不動産の概要についての正式な事項を記載する箇所です。例えば、土地の面積や地番・地目などです。建物なら家屋番号や面積・構造などが該当します。不動産の表示に関する登記が間違いなく登録されるためには、土地家屋調査士のような専門職が現地を調査して測量する必要があります。そのため、例えば土地の分筆時や建物の新築や増改築時に、土地家屋調査士の仕事が必ず発生することになります。 もちろん不動産所有者本人が自分で登記申請することは可能です。しかし、面積の調査や測量は非常に高い専門性が求められ、素人の方が行うのは困難です。そのため、所有者からの依頼に基づき、土表示に関する登記については、地家屋調査士が一手に引き受け活躍しています。

登記手続きの代理

土地家屋調査士の主な仕事の中に、不動産登記手続きの代理があります。 不動産登記とは、日本の国土内の土地や建物について、地番や面積を明らかにして、その所有者や担保権者が誰かを登録する制度です。不動産の購入や建築時、または担保設定時などに不動産登記をする必要があり、登記された内容は「不動産登記簿」に登録され一般の人でも確認できます。法務局に行き開示請求すると、登記簿謄本という書類を取得でき、対象不動産に関する情報や権利者などの様々な情報を確認することができます。 登記簿謄本は、表題部と権利部に分かれています。権利部には、不動産の所有権に関する事項や、抵当権などの所有権以外に関する事項が記載されています。この権利部への登記申請手続は司法書士が担当します。土地家屋調査士が担当するのは、主に表題部への登記手続きになります。この表題部の登記手続きを依頼者からの依頼に基づき行うことが、土地家屋調査士の主たる業務内容です。 また、不動産の登記に関する審査請求の手続代理も土地家屋調査士が行う業務内容の一つです。審査請求とは、登記官が不動産の表示に関する登記について行った処分を不当だと思った人が、法務局長に対してする不服申立のことです。このような不服申し立ては個人の方でもできますが、作業が大変で複雑になるため、登記のプロである土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。

筆界特定の手続きの代理

土地の境目のことを「境界線」や「境界」といいます。 この境界を巡って、土地の分筆時などに近隣住人とトラブルになることがあります。自分が所有している土地の近隣との境目はどこで、実際の面積はどれほどあるのかは土地所有者にとっては非常に大きな関心事だからです。 土地の所有者の申請に基づいて、登記官が各種専門家の意見を参考にしながら調査を行い、申請のあった土地の筆界位置を特定する制度を筆界特定制度(ひつかいとくていせいど)といいます。 平成18年1月に施行された制度で、この制度を利用することで、裁判を起こさなくても隣人同士の境界をめぐるトラブルを防止することができるようになりました。そして、この制度を利用する際の申請者の代理人として土地家屋調査士が該当することになったのです。

限られた人しか職に就けない「ADR認定土地家屋調査士」とは

民間の土地を巡る紛争解決の手続を行う資格として土地家屋調査士は活躍しますが、その中でも特別な研修を受けて法務大臣の認定を受けた土地家屋調査士のことを「ADR認定土地家屋調査士」といいます。

高度な知識が求める特殊な資格

土地筆界が明確になっていないことが原因で発生する民事の紛争を解決するための代理業務を行うためには、非常に高度な知識や専門性が求められます。そのため通常の土地家屋調査士以上の知識が求められ、その能力は担保されなくてはなりません。なぜなら全ての土地家屋調査士に対し民間紛争の解決に向けた顧客からの代理権を付与しても、紛争の解決につながらないばかりか、かえって問題を大きくしてしまう可能性すらあるからです。 境界関連の紛争は土地所有権などの複雑な権利関係が背景にあります。そのため、問題を解決するには測量や登記の知識のみならず、法律に関する専門知識や、これまでの実務経験を存分に生かす必要があります。

特別研修を経て認定される

代理業務を行うには信頼性の高い能力担保を講じていることが条件となっています。その能力の担保として行われるのが「土地家屋調査士特別研修」とよばれる研修です。 土地家屋調査士特別研修は日本土地家屋調査士会連合会が実施する研修です。受講できるのは土地家屋調査士会員及び土地家屋調査士法第4条に定める土地家屋調査士の有資格者に限定されます。 新規受講の受講料は、会員が8万円、有資格者は10万円です。各種専門家を講師とした研修を受け、受講者同士で討論し合い課題を作成するグループ研修等を経て、最後にテストをして修了となります。研修内容の各項目により数時間ずつ受講する必要があり、研修の合計期間はおよそ2ヶ月程度かかります。 このように、土地家屋調査士の中でもさらに特別な研修を受講することで認められる「ADR認定土地家屋調査士」は、限られた人しか就くことができない狭き門だということが分かります。

筆界に関する民間紛争解決手続を代理できる

土地の筆界をめぐる民間の紛争を裁判で決着をつける場合、時間と費用が掛かるだけでなく、当事者自身の負担は非常に大きいものです。そんな中スタートした裁判外紛争解決手続(ADR)は、民間の人にとってもメリットが多く徐々に利用件数が増加しています。 特別な研修を受講し法務大臣から認定されたADR認定土地家屋調査士は、土地の筆界をめぐる裁判外紛争解決手続(ADR)の代理人となることができますが、弁護士との共同受任が条件になります。 これは、土地境界のプロである土地家屋調査士と、権利を巡る法律のプロである弁護士双方が代理人として関与することで、利用者の納得のいく解決が得られるという理由からです。 そのため、土地家屋調査士は本来の測量や調査の業務以外にも、弁護士と共同して調停人として手続きを進めるといった業務が付随します。

境界問題を相談できる身近な存在

境界を巡る問題は全国各地で発生し続けています。そのため、いかにトラブルを未然に防ぎ、またトラブルや紛争が起きてしまった際は、専門家の力を借りて、素早く問題解決をすることが必要になります。 土地の境界を巡る問題解決のサポートをするために、土地家屋調査士会が行なっていることの一つが境界相談センターの設置です。 上手に利用する事で、トラブル発生時の心強い味方になってくれます。

全国に配置されている境界相談センター

土地家屋調査士会が運営するサービスの一つに、境界相談センターがあります。境界相談センターとは都道府県ごとに設置されている相談窓口で、土地を巡るトラブルへの相談や、サポート業務を主としています。 都道府県によっては所属している土地家屋調査士と弁護士の情報を公開しているので、利用者は安心して相談することができます。まずはお住いのエリアの近隣にある相談センターをチェックしてみましょう。

相談から紛争解決まで対応

境界相談センターが対応できる内容は幅が広く、境界に関する素朴な疑問への相談対応はもちろんですが、実際にトラブルが起きてしまった際も適切なアドバイスを受けることができます。 実際のトラブルは土地家屋調査士と弁護士が共同受託で当事者の代理人になり業務を遂行するため利用者にとっては非常に心強いサービスになります。 さらに調停後の合意に基づき、その後の登記手続きや境界杭の埋設業務なども土地家屋調査士が行うことができるため、トラブル発生から登記手続きまでの一貫したサービスを受けることが可能です。

無料相談に行ってみよう!

土地を巡るトラブルに巻き込まれたり、また巻き込まれるかもしれない可能性のある不動産を所有している人は、積極的にこの相談センターを利用し、無料相談に行ってみましょう。各都道府県ごとにセンターが設置されており、インターネット上に所在地や電話番号の確認も行えます。 不動産を巡る法律問題は非常に複雑です。特に土地の境界を巡るトラブルは例え不動産屋がいても発生する可能性のある出来事です。一人で悩んだり、知り合いに相談して独自の判断を出してしまうよりは、一度プロに相談し見解を聞くだけでも安心感が違うのではないでしょうか。

土地家屋調査士は優れた知識と技能を持つ専門家

土地家屋調査士は不動産関連の資格の中でも、普段の生活では関わることが少ないため知らない人も多いはずです。しかし、住宅の購入や相続による不動産の売買、さらに不動産投資を検討する際など、人生において不動産に関わる出来事は意外と多く、境界を巡るトラブルは他人事ではありません。そのような時、土地建物の専門家である土地家屋調査士を事前に知っておくと非常に心強い存在になり、いざというときに相談できる味方になってくれます。相談センターを利用し、あなたの街の身近な土地家屋調査士を探してみてはいかがでしょうか。

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