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iemiru コラム vol.437

日本の伝統的な土壁、聚楽壁(じゅらくへき)の魅力って?

本当の聚楽壁ってどんな壁?

和風建築の代表とも言える壁、「聚楽壁(じゅらくへき)」をご存知でしょうか?京都で生まれ、古くから茶室や歴史的建造物などに使われてきた伝統的な土壁です。上品に和室を彩ることから、今でも根強い人気があるのですが、本物の聚楽壁は、今はなかなか素材となる土自体が取れない貴重な壁となっています。 そこで今回は、日本の伝統的な壁、「聚楽壁」とその魅力、さらに現代の聚楽壁、他の壁との違いなどについてご紹介していきます。

そもそも聚楽壁とは?

そもそも聚楽壁とは、京都西陣にある聚楽第跡地付近で産出された「聚楽土」を使った土壁です。この土は非常に良質で、京都西陣のどこにでもある土ではなく、ごく限られた場所からしか見つからない非常に貴重な土と言われています。 その貴重な聚楽土を使い、京都の高い技術を持った左官職人が仕上げる聚楽壁は、実に美しい土肌です。和室の風情やわびさびを静かに彩ります。

聚楽壁はどうやって作られる?

聚楽壁は土壁の一種です。土壁は、土と藁(わら)や麻、細かい紙やスサ、砂、水をこねて作られます。自然以外の材料は使いません。 まず柱と柱の間に、格子状に縄で竹を編み込んだもので下地を作り、土壁を塗っていきます。土壁は、粗塗り、そして中塗り、仕上げの上塗りと、三回塗り重ねて作られていくのですが、聚楽壁は一番最後の「仕上げの上塗り専用」の土壁なのです。 塗る厚さは、約2mm。しかも、傷やムラが入ると全部塗り直さないといけない非常に高い技術を伴う作業です。 出来上がった土壁は、水や土、砂、藁などしか使っていないのですが、これを寝かせて発酵させることにより、コンクリートのように硬く強い壁に変わるのです。美しさだけでなく、機能性にも優れているのが土壁の1つの魅力と言えます。

聚楽壁の今

人気の高い聚楽壁ですが、聚楽土はとても貴重なものなので、現在ではなかなか取れなくなってきています。そのため、本当の意味での聚楽壁を扱うのは、とても難しいというのが現実です。 そもそも京都の土壁が全国に知られるようになったのは、京都の左官メーカーが施工しやすい樹脂ベースの京壁風の材料を作ったことが理由に挙げられます。現代では、樹脂入りの土壁や、繊細に仕上げられた土壁のことを総称して聚楽壁と呼ぶことも多く、本来の聚楽壁を知る人も減ってきているのかもしれません。

聚楽壁の5つの魅力!

続いては、先人の知恵が詰まった最高級の土壁「聚楽壁」の魅力に迫っていきましょう!

魅力1:和の風情や趣が表現できる

聚楽壁の一番の魅力は、その奥深い美しさにあります。日本には、古くからわびさびと呼ばれる美意識があり、質素でありながら、質が高く静かな美しさを持つものが好まれてきました。聚楽土を使って仕上げられた聚楽壁は、そんな日本の風情を見事に表現していると言えます。 細かい土で仕上げられた聚楽壁の土肌からは、自然そのものの素朴さや、その中に見え隠れする美しさを垣間見ることができます。こんな最高級の壁が和室にあれば、ほっと心まで一息つける空間になるでしょう。

魅力2:ひとつひとつ手作り

聚楽壁は、高い技術を持った左官職人が魂を込めて仕上げる土壁です。1つとして同じものはありません。もちろん既製品が悪いというわけではないのですが、自然で素朴な美しさを表現したい和室には、ひとつひとつ手作りの聚楽壁がとても似合うのです。

魅力3:調湿機能がある

聚楽壁の良さは、その美しさだけではありません。日本の伝統である土壁には、非常に優れた機能が備わっています。まず、土壁の一番の特徴は、高い調湿機能です。湿気が高い時には、土壁が湿気を吸収し、乾燥してくると湿気を吐き出すのです。 そのため、雨の日は床がさらっとして洗濯物も乾きやすく、冬は乾燥知らずの空間を手に入れることができます。カビや結露も発生しにくく、一年を通して快適な空間を得られるでしょう。

魅力4:消臭効果がある

また、調湿機能があることで消臭効果も期待できます。そもそも臭いというのは、化学物質の分子が空気の中の湿気に溶け込み、それが鼻の中の嗅覚細胞にぶつかることで感じる仕組みになっています。 つまり、空気中の湿気を取り除くことはそのまま消臭効果に繋がるというわけです。

魅力5:防火性能がある

自然の素材でできている聚楽壁には、高い防火性能があります。自然の素材でできているので燃えやすいようにも思えるのですが、実はその融点は1,250度と非常に高いのです。万が一火事になっても、非常に燃えにくく安全性も高いと言えるでしょう。

聚楽壁との違いは?知っておきたい塗り壁の種類

聚楽壁は土壁の一種とお伝えしましたが、壁の名前はいろいろあってなかなか違いがわからない方も多いと思います。例えば、土を使った土壁は「京壁」と呼ばれることもあり、他にもいろいろな呼び名があります。そこで、聚楽壁と一緒に覚えておきたい塗り壁の種類をご紹介しましょう。

大津壁

大津壁は、石灰や色土、スサを混ぜてあるタイプの土壁です。大津壁に使われるのは、名前のルーツともなった滋賀県大津の江州白土と呼ばれる土。そして、配合される材料によって、泥大津、並大津、大津磨きの3種類に分かれます。 泥大津は、比較的リーズナブルに仕上がり、並大津は鮮やかな色で上品に抑えた光沢でマットな仕上がりです。最高級の大津磨きは、非常に艶やかで、滑らかな仕上げ面が美しいのが魅力といえます。ただし、限られた左官職人にしか生み出せない技です。

錆壁

錆壁は、鉄粉や古釘の煮出し汁などを混ぜこんだ土壁のことを指します。塗った後に出てくる鉄分が錆びることで、褐色の斑点が浮かび上がってきて、独特な雰囲気を醸し出します。時間の流れと共に表情を変えていく壁を眺めるのは、日本人ならではの楽しみです。

珪藻土壁

珪藻土に使われる土層は、海や湖などに生息する植物プランクトンの死骸で出来ています。小さな穴がたくさん空いたような多孔質で出来ているので、特に調湿効果や保温効果、断熱効果に優れているという点が特徴的です。 土壁の中でも珪藻土は特に人気が高く、クロスや石膏ボードの上に直接塗れるタイプも販売されており、選択肢が広いのも人気の秘訣なのかもしれません。

漆喰壁

漆喰壁は、砂や糊、消石灰などを混ぜる土壁の塗装仕上げを指します。表面が滑らかなのが特徴で、耐久性や調湿性、防火性、断熱性などに優れている点が特徴です。 漆喰壁も、珪藻土と同じくらい人気の高い壁なので、いろいろなタイプが販売されています。

プラスター

プラスターは、石灰を使った壁のことを指します。一番の特徴は、その白い色です。漆喰壁に似た滑らかな表面で、西洋漆喰と呼ばれることもあります。 昔から石灰と砂を混ぜたものを使用していましたが、現代のプラスターには繊維質や化成のりが使われたものも多いです。

聚楽壁がはがれてきた…補修やリフォームは可能?

優れた点が多い聚楽壁ですが、時には剥がれてしまうこともあります。地震によるひび割れや、汚れ、傷などが入ってしまった場合には補修する必要が出てくるでしょう。そんな場合、どのような対処方法があるのかをご紹介します。

剥がれや傷が出てきた!

聚楽壁は、何重にも塗り重ねた土壁の一番最後の仕上げ塗装になります。そのため、聚楽壁は部分補修をすることが出来ないのです。もしも傷や剥がれが出てきた時には、業者に依頼して塗り替える必要があります。 以前であれば、腕のある左官職人が水で練り直して、こてを使い滑らかに仕上げることが可能でしたが、現代ではなかなかそういう職人を探すこと自体が難しいです。そのため、吹き付けで補修し、聚楽壁の質感の再現をする方法を用いることも増えています。 ただし、吹き付けで補修する場合も技術が必要です。実績のある業者を選んで依頼するようにしましょう。

聚楽壁を別の壁にリフォームは可能?

リフォームをすることは可能です。ただし、クロスなどに張り替えるには土壁にそのまま貼ることが出来ません。一旦聚楽壁を剥がしてから、下地を作り、それからクロスを貼るという工程になるので、時間や施工費もある程度かかってしまうでしょう。 聚楽壁を、珪藻土などの他の塗り壁にする際にも、一旦、聚楽壁を剥がす必要があります。その理由は、上塗りした塗り壁が、聚楽壁と一緒に剥がれてしまう可能性があるからです。 聚楽壁を剥がしたら、1〜2日程度乾かしてから他の塗り壁を上塗りしていきます。この時、下地の状態が悪いと、下地から塗り直す必要があるため、より手間がかかってしまうでしょう。

聚楽壁の塗り替えはDIYできる?

結論から言えば、聚楽壁に似た壁の塗り替えならDIYで行うことも可能でしょう。ただし、素人が行って簡単にできるものではありません。それなりの材料や知識、時間や費用がかかるため、できれば業者に依頼した方が無難と言えるでしょう。 DIYするための方法は、長くなるのでここでは割愛しますが、インターネットで検索すると多くの情報が手に入りますので、参考にしてみてください。

聚楽壁は日本の美を代表する土壁!

和室がだんだんと減ってきている現代。建てられる住宅も洋風なものが多くを占める中、こうして日本の伝統的な聚楽壁の魅力に迫ると、普段何気なく過ごしていた和室に奥深い美意識が隠されていることがわかりますね。 ただ美しいだけではなく、先人の知恵が詰め込まれた聚楽壁には、驚くべき性能が備わっています。湿気の多い日本の気候に合わせた素材で作られた聚楽壁は、まさに呼吸する壁。この国で心地よく暮らすためのヒントがたくさん隠れているのです。 洋風の部屋も素敵ですが、たまにはこうして和室の静かで素朴な美の世界に触れるのも良いかもしれません。ぜひ、和室でくつろぐ時には、壁をそっと眺めて、その美しさを楽しんでみてはいかがでしょうか?

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