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iemiru コラム vol.450

配偶者居住権ってどんな権利? 導入による変化や仕組みをわかりやすく解説

日本では65歳以上の高齢者が約3,500万人を超えるなか、2018年に「配偶者居住権」に関する法案が可決されました。この法案によって、これまで介護や看病を続けてきた方が、相続面で優遇されると期待されています。 本記事では、「配偶者居住権」を導入したあとの相続イメージをわかりやすく解説。また「配偶者居住権」によって解決できる問題や注意すべきポイントもまとめました。これから夫婦で家を建てる方や、今後の相続が不安な方は、ぜひ参考にしてみてください。

配偶者居住権とは?

「配偶者居住権」は配偶者が生きている間に生活で困らないための権利

これまで高齢者が亡くなった夫(または妻)の財産を相続するときには、住み慣れた家を相続するのが一般的でした。しかし、家の相続が自分のもらうべき財産の大半を占めてしまい、生活費に当てる預貯金を相続できないケースが問題となっていました。 この問題に対し、財産として相続する家に「所有権」と「居住権」という2つの権利を設けることで、家の価値を2つに分け、「居住権」を相続しても生活費に当てる預貯金が相続できるようになりました。
「配偶者居住権」は、残された配偶者が「住む場所」と「生活する資金」を相続し、生活に困らないように優遇するために作られた権利なのです。

ポイント① 配偶者が同じ家に住み続けられる

配偶者居住権による大きなメリットとして、「配偶者が住み慣れた家に住み続けられること」があげられます。これまでは配偶者が家を相続しても生活資金が相続できず、結局家を売って資金を得るということが問題になっていました。
配偶者居住権が認められたことで、家を売らなくても生活資金を相続できることになり、老後の負担軽減になると考えられています。

ポイント② 20年以上結婚していた夫婦は生前整理によって遺産から除外できる

結婚して20年以上の夫婦であれば、家を「生前贈与」か「遺言で贈与意思の明示」をすることで、遺産分割の対象外となります。これまでは、預貯金財産が少ない場合に家を売って財産を分けることを求められる相続争いが起こっていましたが、家を財産に含まないということになれば、現金だけを分けることになり、住む家がなくなる心配もありません。

ポイント③ 「所有権」と「居住権」を分けて登記できるようになる

「配偶者居住権」によって、家を相続するときに「所有権」と「居住権」を分けて登記することになります。法的に明文化することで、「配偶者は死ぬまで無償で住むことができる建物」という明示になり、第3者から家を追い出される心配もありません。
たとえば「所有権」を持つ人が家を売ってしまっても、配偶者は「居住権」を持っているので、売られたあとも住み続けることができます。

配偶者居住権は2020年4月1日から施行

配偶者居住権を含めた民法(相続法)の改正法案は2018年の7月6日に可決され、2018年11月21日に「2019年7月1日施行」が確定しました。しかし、配偶者居住権に関しましては、「2020年4月1日」から施行されることになっています。

「配偶者短期居住権」は配偶者を一時的に保護するための権利

「配偶者居住権」と同時に「配偶者短期居住権」も設けられることになりました。「配偶者短期居住権」は主に相続問題が解決するまで、一時的に配偶者を守るための権利で、残された配偶者が相続開始直後からこれまで住んでいた家に無償で住むことを保障されています。 一時的に住める保障期間は、 ・遺産分割の協議によって所有者が確定する日
・相続開始から6ヵ月 のいずれか遅い日までは無償で住み続けることが可能です。「無償」の具体例としては、所有権が配偶者ではなく子供へいったとしても、賃貸料などの請求されずに住む、といったケースが考えられます。

配偶者短期居住権によって認められていること(効力)

配偶者短期居住権では、以下のような要件が認められています。  ・配偶者は居住しながら建物の管理をする
 ・配偶者短期居住権では配偶者のみ居住できることが保障される
 ・配偶者だけの判断では第3者へ建物を使用させられない
 ・配偶者は建物に必要な修繕を基本的に自費で負担する

配偶者居住権の導入前と導入後の変化

導入前:生活資金に困って家を売りに出すことも

配偶者居住権が設けられる前は、以下のようなケースがたくさんありました。 (相続例)
財産=不動産2500万円+預貯金2000万円 相続人=配偶者、子供A、子供B 上記の財産を相続する場合、配偶者の法定相続分は2250万円、子供Aは1125万円、子供Bは1125万円がとなります。配偶者が2500万分の不動産を相続し、子供Aが預貯金1000万円、子供Bも預貯金1000万円を相続するのが自然なながれですが、それでは配偶者が預貯金を相続できません。 預貯金を相続できないと、生活資金がなく、生活に困ることが予想されます。また配偶者が2500万円の不動産を相続することで法定相続分よりも250万円多く相続することになり、子供Aと子供Bが本来もらえる金額よりも125万円少なく相続することに。 もし子供Aと子供Bが125万円分の相続を主張すると、配偶者が家を売って現金化し、振り分けることになりかねません。配偶者は家を売ってしまうと、住む場所に困りますし、手続きや諸費用で財産がどんどん減っていくケースが問題になっていました。

導入後:家を持ったまま生活費も相続できることに

配偶者居住権を設けた場合、不動産の価値2500万円を「所有権1500万円」「居住権1000万円」といった具合に分けることができます。なので、配偶者は法定相続分2250万円を「居住権1000万円+預貯金1250万円」といった具合に分けて相続することが可能です。 配偶者は家に住み続けることができ、生活資金も相続できるので、老後の生活も安心して過ごすことができます。

配偶者居住権によって解決できること

解決① 二次相続の手間が省ける

これまでは配偶者が不動産を相続したあと、配偶者が亡くなるとさらに子供へ相続することになり、二重の手間がかかっていました。今後は「所有権」と「配偶者居住権」に分けて相続できるので、最初から配偶者は「居住権」を子供は「所有権」を相続することができ、相続の手間が減らすことが可能になります。

解決② 先祖代々の不動産を家系にとどめられる

子供がいない夫婦で相続が発生する場合、先祖代々続いている不動産が、もともと家系にいなかった配偶者へ相続される可能性があります。配偶者居住権があれば、所有権は家系の人間に譲渡し、居住権だけ相続して家に住み続けることが可能です。所有権は家系にとどめつつ、配偶者はそのまま生活できるので、双方安心して過ごすことにつながります。 こういった問題は、本来法的には問題ないことですが、人間関係のもつれを解消できるのがポイントです。

配偶者居住権で注意すべき点

注意① 維持管理は基本的に配偶者負担で行う

配偶者居住権によって家に住み続ける場合、基本的に維持管理は配偶者負担で行うことになります。所有権をもっている人間に請求することはできないので注意が必要です。

注意② 配偶者居住権は民法で認められた夫婦しか効力がない

配偶者居住権は、法的に認められた夫婦でしか認められないので、内縁の妻・夫や同棲婚では効力がありません。現代は多様な家族構成があるので、今後は議題になることが予想されます。

注意③ 配偶者が亡くなった後の「二次相続」

配偶者居住権によって所有権は子供に、居住権は配偶者に分けて相続することになるので、配偶者がなくなった後で実質的な不動産の相続(二次相続)が待っています。相続人が子供1人であれば話は簡単ですが、兄弟2~3人がいる場合などは、二次相続のことを事前に話あっておく必要があるでしょう。

民法改正では遺言を法務局に預けられる制度も

2018年の民法改正では「配偶者居住権」がピックアップされ注目を浴びていますが、「遺言(自筆証書遺言)を法務局で預かる制度」が始まることも決まりました。 これまで自筆証書遺言は紛失または改ざんの危険があったり、遺言者の死亡後に家庭裁判所で手続きする手間がかかったりとデメリットが大きかったのですが、法務局が管理することで改善されることが期待されています。

配偶者居住権で安心できる老後計画を

配偶者居住権が認められることで、これまで看護や看病をしてきた方が損をすることなく、財産を受け取ることができるようになりました。親子関係が悪い場合など、相続争いになりそうなケースも緩和されることが予想されます。 これから不動産を持つ方も、相続に関して不安がある方も、配偶者居住権があることを前提にして老後計画を立てることが可能です。困ったことは相続弁護士などの専門家に相談しつつ、安心できる老後計画を立てていきましょう。

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